山を探す / No.28 川野 恭子

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写真家にとって被写体が表現の“媒体”だとしたら、近年の川野氏のそれは山だ。

彼女の写真はいわゆる山岳写真ではない。山岳写真と言えば、日本全国にそびえたつ堂々たる山々を迫力ある画角で切り取る、○○岳や××山の雄姿をとらえた作品が多い。けれども彼女の作品はそうではない。写真におさまっているのはどこの山なのか、という事実は重要ではない。焦点は別のところにある。山はあくまで表現の媒体であり、故に彼女の写真に登場する山々に固有名詞は必要ないのだ。

蛇腹式のページは、彼女の意識がそのままつながっていることを表しているのだろうか。ページをめくり進めていくにつれ、山に登る人間にとってはおなじみのあれこれ、例えば道しるべとなるピンクリボンや石を積み上げたケルン、寝袋やテント、ガスバーナーなどが登場する。立ち枯れた樹々、岩に描かれたペンキの矢印、ぽつんとそこにある落石、こちらをじっと見つめる鹿。彼女が見ているものを通して、ページをめくる我々も、山の世界にすっと入り込んでいく。それらは、時には光射す森の中や霧深いカールを歩きながら、または幕営して山に抱かれて眠りながら、彼女が自らのルーツを探し求めている意識の流れを形作る要素たちとも言えるのかもしれない。

実は私と川野氏は山友達でもあり、近年一緒にさまざまな山に登った。この写真集「山を探す」にも私がちょこちょこ登場している。
最近はコロナの影響でなかなか一緒に山に出かけられていないが、また彼女が山を探す姿を見たいと思う。

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四十代を迎えたある日を境に、無性に山が気になりはじめた。
それからというもの、何かに取り憑かれた様に山に入った。
気づけば一年と経たないうちに数十座は登っていた。

何故、それほどまで山に惹かれるのか?

明確な理由は分からないが、
日本人に古くから根付く自然観や宗教観によって
山を求めている気がしてならなかった。

私は山を探していた。

川野恭子


One day when I reached my forties I began to be absorbed by mountains.
After that, as if obsessed, I started climbing mountains.
Before a year had gone by I realized that I had climbed dozens of mountains.

Why was I so fascinated with mountains?

I don't know the exact reason why, though I can't help but think that my desire to experience mountains has to do with the Japanese view of nature and religion we have been imbued with from times of old.

I was looking for the mountain.

252×210㎜|72ページ|蛇腹製本
アートディレクション 金晃平
3,850円